【1991年 雑誌 [ Switch ] Vol.9 No.3 P127 】より 

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リュウ さん、大丈夫かな...  」  僕は 「えっ」 と言った。

 

今朝の TV での 彼の夫人の 葬儀中継が 脳裏をかすめた。

「 ------ オレの方が早く死ぬと 家内に約束していたのに ------- と、

             リュウ さんが TVで 無念そうに言っていました 」

「 男はみんなそう思っている。------- オレの方が早く死にたい------

 僕は 黙ってそ の言葉の意味を 考えた。  彼 は言った。

『 東京物語 』  、 あれは 東山千栄子さんが 先に死ぬんだよな...

    -------- あれは死にましたか、 あれは死にましたか------- って リュウさん。

                                                               確か そういう 台詞が あったな... 

 

小津安二郎『東京物語』 の一節を 彼は声にした。

目を 瞑ると、笠 智衆 さんが そこに居て、

俳優、笠さんの 亡くなった 奥さん 花観(ハナミ)さんの相貌が浮かんだ。

「 戦前の 小津 さんの映画に 『 父ありき 』 という作品がある。

 さんが 父親の役で 佐野周二さんが 息子だった。

 三〇歳 で 五〇歳以上 の 父の役を やった。 ただ 親子しか出てこない 映画だった。

 小津 さんという人は 日本映画のある種の 髄のような人だね 」

 

そして彼は ゆっくり続けた。

「 オレ、10年ぐらい前だけど...... オレ、生意気だったんだよな。

 ライバルはどなたですか?  聞かれたことがあったんだ。

                                                                笠 智衆 です 』 と答えた。

 

その後、あんなことしたことないのに、 オレは さんの家を 訪ねて行った。

『 こんにちは 』。 -------  誰? -------  娘さんらしい声。

『 あの~  さんにお目にかかりたいんですけれど 』。

------- おじいちゃん、誰か来たわよ。 あなた、だーれ --------

『 あのー  緒形 拳です』。  -------- えっ、 緒形さん。 おじいちゃん  緒形 拳さんよ-------

すると 奥から  さんが出てきて-------  あの、なんでしょうか? -------- と言われた。

オレは-------、『 ここになにか書いてください 』。   まあ、  お上がりなさい--------

さん、書いて下さい 』。  さんはすぐに書いてくれた。

それで  -------  ハンコ は?  --------  と 聞かれた。

オレは、 『 はい、できれば 押してください 』。  

-------- あの 銀行印 でも いいですか?  --------   さんは言われた。

     その字はなんのてらいもない、いい字だった」

 「 その時、さんはなんて書かれました?」

                    彼 は きっぱりと答えた。

 「 『山川草木』 」  

 

(1991 Switch Vol.9 No.3  P127 より )

 

 

ryu-chishuu1[1].jpg

 

1991年に 7月に発行された 雑誌 Switch スイッチ』 の中で、

 

緒形 拳さんが 笠 智衆 さんの 事を 語られている 印象深い記事(エピソード)です。

これを 読んで... 本気で 緒形拳さんの家まで行き を 書いてもらおうと 考えた...

 ( 無謀な 考えの20代でした... 19年前の ) 私 がいました。

 

 

本日(10月5日)は、緒形 拳 さんの 命日 です。 ( もう 2年が経ちますか... ) 

 

 

blog224.jpg 『驢馬黙黙』 な日々 ...

(其の四)さて、何と読むでしょうか?

 

 

 

魚心 あれば 水心

( 日めくり カ レンダーより )

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このページは、kadomaが2010年10月 5日 17:33に書いたブログ記事です。

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